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劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズが2月8日公開! 声優の神谷明さんがインタビューで語る


まもなく劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズが公開になります。週刊少年ジャンプに連載されてから20年の月日が流れたが漫画家の北条司さんの人気は高くアニメ化されるとアニメファンに絶大なる支持を得ることとなった。エンディングテーマ曲はTM NETWORKの「Get Wild」が印象的だろう。

今回の劇場版でも声優は変わることなく、冴羽獠役には北斗の拳のケンシロウ、キン肉マンのキン肉スグル役でお馴染みの神谷明さんや槇村香役の伊倉一恵さんなど豪華声優が参加しているのも見どころだ。ライブドアニュースで語ってくれたインタビューも素晴らしいので是非ご覧ください。

僕らの背中を追いかけてきてほしい。神谷 明から“まだ見ぬ後輩たち”に贈る言葉

声優界のレジェンドへの取材ともあって、ピリッと張り詰めた空気が漂うインタビュールーム。そんななか笑顔で登場した神谷 明は、「どんな質問でもどうぞ。ダメなものはありませんので」と第一声から取材陣を気遣う様子を見せる。

神谷といえば、『北斗の拳』のケンシロウや、『キン肉マン』のキン肉スグルなど、時代が移り変わっても愛される人気作で主演を務めてきた存在。

1987年に放送されて以降、4回のTVアニメ化を重ねた『シティーハンター』の主人公・冴羽 獠も、神谷のキャリアを象徴するキャラクターのひとりだ。彼がこの男に格別な思い入れを抱いていることは、自身が主宰する事務所を「冴羽商事」と名付けたことからもうかがえる。

2月8日から公開される20年ぶりの新作、『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』について、そして声優を目指す人に向けてのメッセージを丁寧に語ってくれた神谷。彼が最後に漏らした「声優って楽しい仕事なんですから」という言葉の深みと重みを噛みしめながら、このロングインタビューを読んでほしい。

冴羽 獠を当時のように演じるために…滑舌をイチから練習

――1999年のスペシャル番組から20年経ち、アニメ放送30周年記念プロジェクトとして公開される本作。20年のあいだに、「またみんなで『シティーハンター』をやりたいね」といったお話は出ましたか?

(TVアニメを手がけた)読売テレビの諏訪(道彦)プロデューサーとは、『YAWARA!』や『名探偵コナン』でご一緒していて、「シティーハンターの企画書を提出している」とうかがってはいたんですね。

元サンライズの植田(益朗)プロデューサーも同様にプッシュしてくださっているとも聞いておりまして。こだま(兼嗣)監督と僕は「実現したらいいね」と、その様子をうかがっていたんです。

そんななか、2年前に70歳を超えたので「もう無理だろう。実現しないだろう」と勝手に自分で判断していたんです。ところがおととしの10月末ぐらいに、今回の企画のお話をいただきまして……。

――「無理だろう」と思っていたところにお話がきて、どのように感じましたか?

驚きと嬉しさが同時にきて、そのあと「はたして僕は、冴羽 獠を当時のように演じることができるのだろうか?」と、すごく大きな不安がやってきました。

というのも放送当時、僕は40代で“脂の乗りきった状態”だったんですね。その頃と比べたら演技力は向上していますが、あの頃のようなテンポや緩急で演じられるかどうかが一番の不安でした。

言葉を変えれば、「ファンのみなさんが期待するような冴羽 獠を演じられるかどうか?」という不安ですよね。それで一週間ほど考えまして、やっぱり嬉しさが勝ったので、「よし!」と。

お声がけいただいた際は、収録までに1年くらいあったものですから、「準備を十分にして臨もう」と思いましたね。

――どのように準備をされたのでしょうか?

“リハビリ”ではないですが、しゃべりの精度を上げるというか……。表を使った発声練習があるんですが、それを読んで滑舌の練習をしました。

僕は外国の映画やTVドラマシリーズが好きで、家でもよく見ているんですが、字幕が出てくるじゃないですか。その字幕を、自分ができそうな役のセリフに合わせて演技しながらしゃべってみたりもしましたね。

――神谷さんほどキャリアのある方でも、改めてそういった練習を?

ほかにも、たとえばナレーションのお仕事をいただいたときには、「歯切れのよさや滑舌は大丈夫だろうか?」と、これまで以上に注意深くチェックするようにしています。

あとは、やはり自分のセリフがすごく気になっていて、シナリオを逐一見せていただいていたんです。ですから、セリフを実際に声に出して練習しながら、十分に準備をして臨みました。

――そうして、いよいよ収録が始まったのですね。

収録当日は、「以前の雰囲気を掴めるだろうか?」と思っていましたが、みんなの声を聞いたらあっという間に当時に戻りまして……。

一気に20年分の時間が巻き戻された感じがしましたね。これはおそらく、レギュラー出演者のみなさんも同じだと思います。それに作品が大変よくできていたので、“遊ばせて”いただいているうちに終わってしまった印象です。

――「作品が大変よくできていた」というのは、具体的にはどんなところでしょう?

シナリオを読ませていただいた段階で、もう脚本の加藤陽一さんは『シティーハンター』の大ファンだとわかったんです。というのも、「これは、好きな人じゃないと書けないだろう」というストーリーやキャラクターになっていたから。

映像を見たときも、緩急をつけた演出が素晴らしかったですし、そのうえ音楽がつくわけですから、もう見事に僕らを虜にするような作品に仕上がっていました。

AIやドローンも登場! 20年間の時の流れを感じた

――20年ぶりの新作ということで、作品を取り巻く時代も変わりました。今作に触れて、時代の流れを感じた点はありましたか?

冴羽 獠に関しては、まったく感じませんでした。脚本から「基本的には当時のままでいいんだな」と思いましたから。

とはいえ、時代の流れというものがありますから、「伝言板はどうなるんだろう?」というのはすごい気になっていましたね。

――冴羽 獠に仕事を依頼する際は、駅の伝言板に「XYZ」の文字と連絡先を書くルールがありましたが、いまや駅の伝言板というものがなくなりましたから…。

そうなんです。それも「現代だったらこうなるだろうなあ」と演出されていましたし、AIやドローンも登場しますから。冴羽 獠がドローンを操縦するシーンで、「お前、いつそんなことを覚えたんだ?」って思いましたが(笑)、目的が目的だったので「なるほど」と。

そうやって最先端のメカも登場するので、「時代に合わせてくれているな」と感じました。とはいえ、歌舞伎町やゴールデン街はあまり変わっていないので、見ていても「あ、ここってあそこだよね! そうか、こういうルートで逃げてるんだ」と想像できたのが楽しかったです。

――これまで伝説的なキャラクターをたくさん演じていらっしゃった神谷さんにとって、「冴羽 獠を演じる」のは特別なことなのでしょうか?

そうですね、自分のなかではナンバーワンのキャラクターですし、大事にしていたので、それなりの思いがあって演じました。

――今回共演された、依頼人・進藤亜衣役の飯豊まりえさんはいかがでしたか? 声優に初挑戦とのことですが。

スタジオで最初にお会いしたときに「これからリハーサルをするんです」と言っていたので、「思った通りにやればいいから、楽しんでね」って別れたふりをして、じつはこっそり調整室で見ていたんです(笑)。それで、最初のシーンの第一声を拝見して「わ、これはスゴい!」と。

彼女はいま21歳なんですが、その感性が見事に表現されていて、なおかつ非常にナイーブで自然な演技だったんですね。それに、セリフの端々に……彼女が本来持っていらっしゃるものだと思いますが、“かわいらしさ”が垣間見られた。

これってキャラクターを愛してもらうときにすごく大事な要素なんです。

――というのは?

役の向こうに見える本人を支持してもらえなければ、長くこの業界で生きていくことは難しいんですね。そういう意味でも「若いのにスゴい女優さんだな」と思って、安心してお任せすることができました。

後から彼女の声が入った映像も拝見しましたが、最初に感じた印象にプラスして、演技もすごくお上手で!

女優さんが声優をやることに抵抗を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、今作に関しては間違いなく素直に見ていただけるうえ、飯豊さんの魅力も感じられると思います。

ルパン三世に銭形警部…先輩の芝居が生き続けている

――今年の7月で、声優としても50周年を迎えられます。

そんなに長くできるなんて想像もしていなかったし、劇団テアトル・エコーではなくほかの劇団に入っていたら、30歳前に辞めていると思うんです。

僕が入った頃は、山田康雄さん(『ルパン三世』ルパン三世役)、納谷悟朗さん(『ルパン三世』銭形警部役)、熊倉一雄さん(『ひょっこりひょうたん島』トラヒゲ役)など、40代でバリバリに脂が乗りきっていた役者さんたちがたくさんいらっしゃいました。

――錚々たるメンバーですね。

山田さんは普段からルパンみたいな人で(笑)、カッコよくて、コロコロと性格が変わる役を見事に演じられていて。改めて思うと、後年の冴羽 獠に一番影響を与えてくれたのは山田さんの演技だったと思うんですね。

納谷さんは粋というか、山田さん以上に都会的なセンスのあるコメディを演じられていて、熊倉さんは浅草の喜劇といいますか、泥臭い部分もあるような演技を見せてくださったんです。後年、キン肉マンを演じるときによみがえってきたのが、熊倉さんのあの芝居です。

――先輩方のお芝居が、神谷さんのなかに生き続けているのですね。

小林清志さん(『ルパン三世』次元大介役)や、井上真樹夫さん(『ルパン三世』石川五ェ門役)のようなカッコいい先輩がいたので、「ああいう役を絶対にやりたい」って思っていて。それで『北斗の拳』のケンシロウという役に巡り合えて、先輩方から学んだことをもう一度思い出しながら、自分なりに演じました。

だから、先輩が敷いてくださったレールに乗せてもらいここまで来て、50年という歴史を刻ませていただいたのは本当に幸運なことだと感じています。

多くの作品と出会い、人と出会い、時代に恵まれ、ここまで来ることができたな、と今回改めて、自分の運のよさを再認識しました。

だからあと贅沢を言えば、この劇場版をファンのみなさんのみならず、たくさんの方に見ていただき、育てていただいて、次につながっていけばありがたいし嬉しいですね。

いろんなものに興味を持って、自分の目を肥やしてほしい

――最近は「声優になりたい」という若い人たちも増えてきているようです。

そうですね、多いですよねえ。

――そういった方たちに向けて、声優とはどんな職業か、神谷さんの言葉でお伝えいただけますか?

声優は、姿形にとらわれず、動物・植物・鉱物・空気・天体にいたるまで、森羅万象あらゆるものに変身できるというのが一番の醍醐味なんですね。もちろん、それだけの“イメージができる力”は必要になりますが、それが一番楽しいところだと思います。

大変なのは、「基本の演技がしっかりしていないと、あとで自分が困る」ということ。声だけで表現する仕事ということで、声優としての独特な演技法があるように思われがちですが、それはまったく間違いで、基本的に俳優と同じなんですね。

ですから、できれば自分の体を使って表現できることを、しっかり学んでほしいと思います。

――具体的には、どのように学んでいけばいいのでしょうか?

僕自身、20年以上教鞭をとってきた身として言えることですが……みんな、早く画面に声を当てたがるんですよ。だけど、基礎もないのにそれをやるのは「百害あって一利なし」なんですね。

ところが最近は、授業の序盤からアフレコ練習をさせる養成機関が多くなっていて、いかがなものかと思いますよね。

青二プロダクションの養成所にはアフレコの授業がありません。実際に養成所を卒業して、青二プロのジュニアとして正式に所属したのちに、アフレコのノウハウを現場やゼミで学ぶんです。最大手の事務所がそうだということは、「何をか言わんや」ですよね。

――まずは何よりも「演技を勉強する」ということですね。

そうなんです。さらに、勉強を始める前から多くの作品に触れてほしいと思います。評判のいい良質なTVドラマや、うまい役者さんが出ている映画、古今東西の新作も含めた“名作”と言われる作品はぜひ見てほしい。

何が名作なのかわからなかったら、好きな俳優さんや監督さんのものをどんどん見て、目を肥やしていただきたい。

目が肥えれば、自分に対しても同じ目を向けることができる。自分にものすごく厳しくなるんですね。そうして良質な演技に触れてほしいのと、音楽・ダンスといった芸術にも触れていただきたいですね。自分を肥やしてほしいです。

――「自分を肥やす」というのは、とても深い言葉ですね。

勉強だけじゃなく、何にでも興味を持つ。たとえば織田信長を演じることになって、『敦盛』が謡えないのはマズいですよね。場合によっては、外国の方の役で少し英語をしゃべったり、ラッパーの役でラップを披露したり、なんてこともありますから。

僕自身、いろんなことに興味を持って首を突っ込んできたことが、すごく役に立っていると感じることも多いです。以前、「神谷さん、ラップできますか?」って言われて、知識はあったので「大丈夫ですよ」とお答えしたら、ラップのようなテンポで商品名を言うCMを録る機会をいただきました。

――すべてがお仕事に活きてくるのですね。

歌うことも仕事になってきますので、歌も好きであったほうがいいと思います。僕がそうなんですが、声優のお仕事をやって、歌を歌うようになって。さらにラジオでおしゃべりをしなくちゃいけなくなって、しゃべることを覚えたら、今度はコンサートでのMCがすごくラクになったんです。

さらに磨きがかかることによって、講演会で1時間から1時間半、気の利いたお話が楽しくできるようになっていって。それとは別に、文章を書いて、それを出版することができたりもしたので……。

本当にいろんなことに挑戦させていただいて、そのすべてがいまの自分に残っているんですね。

カタチに近い演技”をしてしまうジレンマ 声優の葛藤

――声優ブームで声優の人数も増えてきていて、そのなかで生き残るためにも、幅広くいろんなことに興味を持つのが必要ということですね。

そうですね、「いろいろなことに対して貪欲であれ」。それは声優に限らず、どんな仕事でも同じだとは思いますが、とくに声優は小さい枠にはまって“自分たちがイメージする芝居”をしていたらダメなんです。

そういう意味でも、今回飯豊さんがゲストの役を演じられると聞いたとき、「新しい風を吹き込んでほしいな」と期待したんですね。彼女はその期待を見事に表現してくださったので「本当にスゴいなあ」と思いました。それこそが答えなんですよね。

――「答え」というのは?

みなさんが見ているアニメや外国映画の吹き替えは、自然に発せられたものではない“作られたセリフ”を、限られた時間のなかで発しています。

だからこそ、僕ら役者はどうしても“カタチに近い演技”をしてしまうことがあるんです。それがもうずっとジレンマで、「もっと自然に芝居ができるように」と切磋琢磨しているわけで。

ただ、とても不本意ながら、そういった僕らにとって“不完全なもの”を見た新人声優たちが、それを“完成形”と目指してしまうため、本来役者が目指すべき演技とはかけ離れたものになることがあるんです。

残念ながら僕は新人に現場で会うチャンスがほとんどないので、そういったことを伝えたいなと思っていてもなかなか難しい。だからこそ、こういったお話をする場で、新人や声優を目指している人に“大事なこと”として伝えたいですね。

――いまのお話をうかがっていると、養成所選びからしっかりと考えていかないといけないと感じます。

本当にたくさんの専門学校や養成システムがありますが、内容をしっかり把握しないと「何も得るものがない」ことも場合によってはありますので。自分の人生を懸けるわけですから、「ちゃんと選びなさいよ」って思いますね。

あ、でも僕、そんなこと言えないや(笑)。「新人を育てる」という理念に温かさを感じたのがテアトル・エコーを選んだ理由ですから。でも、改めて振り返ると、そこで入り口を間違っていたらここに僕はいないんですよね。

Aqoursに、たくさんの支持が集まる理由がわかる

――華やかな印象の声優業界ですが、しっかりと考えて選択していくことが大切なんですね。

華やかなところに行ける人って本当に一握りで、そこまで到達して初めて、いま言ったようなことが大事だったんだって気付く。だからもう、その前に知っておかなきゃダメなんです。

僕らはブームに乗りながらも“育ててもらえる”時代でしたが、いまはまったくの消耗品ですから。それをわかったうえで自分が利口になっていかないと、利用されて終わっちゃうだけですよね。

だから、ファンの方からいただくパワーや、業界のいいうねりに乗って、続いているうちに足元をしっかりと固めて、声優として長生きしてほしい。楽しい仕事ですから。

僕らには野沢雅子さんという素晴らしい先輩が照らしてくださった道があって、いま、僕らも仲間と一緒に後輩の道を照らしているつもりではありますが、それがどこまで後輩に伝わっているか、ですよね。

――若い世代の声優たちの活躍をどのように感じていますか?

『ラブライブ!サンシャイン!!』のAqoursが紅白歌合戦に出た姿を見ましたけれど、じつに頼もしくて素晴らしいですよね。「絶対にこの業界で生き残ってくれ!」って思います。

僕から見ても「いいキャラクターをしているなあ、かわいいなあ」って思いますし、たくさんの支持が得られる理由がわかります。ですから、できるだけ業界で長生きして、楽しさを存分に味わってほしい……。それって大変なことだけど、「楽しくて楽しくてしょうがない」と思う瞬間ってたくさんあるから。

――神谷さんの言葉を通してエールが聞けるのは、とても感動的です。

インタビューがこんな感じで大丈夫だったかな?

でも、本当にね、仕事だってずっとたくさんあるわけじゃないから。それでも僕や玄田くん(海坊主役:玄田哲章)だってちゃんと生きているわけでしょ。後輩のみんなも、いまを大事に積み重ねていけば、同じようになれるんです。

さっきも言ったように、僕らは野沢さんの背中を追いかけているんですが、僕らの背中を見て、みんなが追いかけてきてくれるとすごい嬉しいですね。本当に、声優って楽しい仕事なんですから。

神谷 明(かみや・あきら)
9月18日生まれ。神奈川県出身。A型。劇団テアトル・エコーに研究生として所属していた1970年に声優デビュー。主な出演作品に『キン肉マン』シリーズ(キン肉スグル/キン肉マン)、『北斗の拳』シリーズ(ケンシロウ)、『シティーハンター』シリーズ(冴羽 獠)、『名探偵コナン』(初代・毛利小五郎)などがある。

ファウンディも獠ちゃんのワイルドでもっこりなギャップが大好きだから映画館に見に行ってくるね☆

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